家は武器

ADHD親子の、片付けられる家。

“やらなきゃ…”動けない自分を責めていた頃の私へ。安心が回復の土台だったという話

「やらなきゃと思ってるのに、どうしても動けない」
そんなふうに悩んでいた時期がありました。
頭ではわかっているのに、身体が動かない。周りの期待に応えられない。それをずっと「自分が弱いから」「怠けてるだけ」と責めてきたけれど、
今日、ポリヴェーガル理論を学んで、まったく違う視点に出会いました。神経系の不調、感情の記憶、過覚醒。
それは決して“甘え”ではなく、私たちの身体が必死で守ろうとしている反応かもしれない。「安心から始める」という視点を、今の私として記録しておきたくて書きます。

 

CLOプログラム、きょうの学び。

jalo.jp


脳や神経、そして「安心」というキーワードについて、あらためて深く考える学びの時間になりました。

私たちの脳や神経は、たとえケガや病気がなくても、“痛み”や“不調”を感じることがあるそうです。
その原因には、過去のストレスや感情の記憶、神経系の過覚醒が関係していることもあります。

自分を責めてしまうときに

「やらなきゃと思ってるのに動けない」
「どうして私はできないんだろう」

そんなふうに、自分を責めてしまうとき。
その背景には、“怠け”や“意志の弱さ”では説明できない理由があることを、今回の学びであらためて受け取りました。

実際、神経が誤作動を起こすと、本来は身を守るはずの反応が暴走し、逆に心や身体を傷つけてしまうことがあるそうです。
強いストレスが引き金となる「感情の洪水」は、思考や会話、身体の動きすら難しくなるほどの影響を持ちます。

必要なのは、「安心できるリズム」

そんなときに必要なのは、「もっと頑張ること」ではなく、「安心できるリズム」です。

✅ 少しだけ動いて終えてもいい

✅ 疲れたら途中で止まっても大丈夫

✅ 他人と比べず、自分のペースを大切に

✅ 一人で抱えず、信頼できる誰かとともに

こうした“やさしい土台”があって、はじめて「片づけようかな」と思える余地が生まれるのかもしれません。
支援する立場としても、とても大切にしたい視点です。



わたしの経験から思い出すこと

思い返すと、会社員時代の私はよく「大慌て&フリーズ」状態になっていました。
心臓がバクバクしたり、頭が真っ白になって動けなかったり。
当時はただ「とにかく頑張らなきゃ」と、自分を叱咤してばかりいました。

けれど今思えば、それは慢性的なストレスや疲弊で、脳が“危険”を誤認して体にストップをかけていたのかもしれません。

本当に必要だったのは、神経が誤作動しないように、「自分が安心できる環境やリズム」を整えてあげることだったのだと思います。

「できる(はずの)こと」よりも、「安心できること」から始める。
その方が、ずっと自然だったのかもしれません。

「安心」って、どうやったら感じられる?

とはいえ、「安心していいよ」と言われても、安心できないときってありますよね。

ポリヴェーガル理論(Stephen Porges博士)では、私たちの神経系は大きく3つの状態を行き来していると言われています。

✅ 安全・つながりモード(腹側迷走神経)

✅ 闘争・逃走モード(交感神経)

✅ フリーズ(シャットダウン)モード(背側迷走神経)

 

心と身体が「安心だ」と感じているときにだけ、私たちは本来の力を発揮できます。
思考力、対話力、感情表現、行動の柔軟さ――すべては安心の上に成り立っているんです。

 

安心の条件は、人それぞれ

でも、「安心できる条件」は、きっと人によってまったく違います。

  • 発達障害のある方は、音や光などの刺激が強すぎると安心できなくなることがある

  • トラウマを経験した方は、普通の会話やふれあいさえも警戒を呼び起こすことがある

  • 繊細な方は、人が多いというだけで疲れ果ててしまうこともある

安心は、「こうすれば誰でも安心」という一律の方法ではなく、
その人自身の感覚と、これまでの経験に深く結びついているものだと思います。

 

安心のヒントになるもの

🌿 やわらかい光
🌿 自然な音や空気の流れ
🌿 予測できるスケジュール
🌿 否定されない関係性
🌿 急かされない会話
🌿 肌ざわりのよさ
🌿 比べられないこと
🌿 ひとりの時間
🌿 呼吸の深さ

こうした小さな積み重ねが、「やってみようかな」という一歩につながっていくのだと思います。

 

安心が芽吹く場をつくるということ

安心できる環境が整ってはじめて、神経は回復を始め、変化の芽がゆっくり育っていく。
だから私は、片づけや生活支援の現場でも、「この人にとっての“安心の条件”ってなんだろう?」と問いかけながら関わっていきたいと思っています。

焦らなくていい。比べなくていい。
安心できるところから、一緒に始めていけたら――
そんなふうに感じた一日でした。