「私は何をやってもダメだ」そう思い続けてきた人生でした。
過去、ある専門店の販売職に就いていたとき。
不注意なミスばかり、マルチタスクでは頭がフリーズ、自意識が邪魔して仕事に集中できず、ひどい時は立ちながら眠気に襲われることもありました(これは慢性的な睡眠不足もあったかもしれません)。
私は会社員として、まったく機能していませんでした。
私のために、新しいルールやダブルチェックを周囲が用意してくれても、状況は変わらず。
私は心の中で、いつも自分を責めていました。
「何をやってもできない」「私は本当にダメな人間なんだ」
そう思っていれば、もっと頑張ろうとするのではないか。
そうやって自分を奮い立たせようとしていたのです。
でも、現実は違いました。
自己否定を繰り返すうちに、気力も体力も底を尽きました。
ついには布団から出られず、現実逃避のような日々。
そして、私はその仕事を辞めました。
逃げたのは仕事だけではなく、自分自身からでもありました。
けれど、逃げても「自己否定」だけは、いつまでもついてくる。
そんなときに出会ったのが、**「セルフコンパッション」**という考え方です。
セルフコンパッションとの出会い
この言葉を初めて耳にしたのは、たしかDaiGoさんの発信だった気がします。
そこから興味を持ち、いろいろと調べていくうちに、アメリカの心理学者クリスティン・ネフさんが研究・提唱しているものだと知りました。
自分に厳しくするのではなく、**「人に向けるやさしさを、自分にも向ける」**という発想。
正直、最初は「そんなことで何が変わるの?」と、むず痒くて、うさんくさくて、受け入れられませんでした。
でも、脳科学の分野では、セルフコンパッションがストレス軽減に役立ち、副交感神経を活性化させるという研究もあるそうです。
自分を責めていた理由と、気づき
私は、「自分を責めることで、やる気が出る」と思っていたのです。
でも、それは逆効果でした。
**“自分を許せない人は、先延ばししやすい”**という言葉を聞いて、ハッとしました。
自分にダメ出しばかりしていると、行動する気力が失われていく。
自分に対する信頼がないと、「やっても無駄」という感覚になってしまう。
だから私は、少しずつ考え方を変えていきました。
「やればできる」と無理やり思い込むのではなく、
「できない前提で、昨日の自分より少しでもやりやすくするには?」と考える。
北風ではなく、太陽で
私は、ようやく気づきました。
“気合で乗り切る”のではなく、しくみで動くしかない、と。
暮らしを「自分仕様」に整えること、
苦手なことを避けずに、でも“少しだけラクにできる工夫”を見つけていくこと。
セルフコンパッションを知ったことで、私はようやくスタートラインに立てた気がします。
今は、自分にとってちょうどいい暮らしが少しずつできるようになってきました。
誰かの役に立てる仕事も、少しずつ見つけられました。
そして、子どもたちに、前よりもずっとやさしくできるようになりました。
それはきっと、自分にもやさしくなれたからです。
おわりに:セルフコンパッションを学ぶなら
もしあなたが「私なんて何をやってもダメ」と思っているとしたら、
それは、これまであなたがたくさん努力してきた証だと思います。
そんな方にこそ、「セルフコンパッション」の考え方を知ってほしいなと思っています。
もし興味があれば、クリスティン・ネフさんの著書『セルフ・コンパッション』を手にとってみてください。
私もまだまだ練習中ですが、焦らず、やさしく、自分を育てていきたいと思っています。