「一つだけ?!」の意味
カリフォルニアに住んで初めてのクリスマスシーズン。
英語の先生から、こう聞かれました。
「息子さんはクリスマスに、いくつプレゼントをもらうの?」
私はなんでそんなこと聞くんだろう?と思いながら、「一つですよ。」と答えました。
先生は、「一つだけ?!」と驚き、少し後で「うん。素晴らしい。実際、アメリカの子どもは持ち過ぎかもしれない。」と言いました。
クリスマスの次の日の朝、私は先生の驚きの意味がやっとわかりました。
ゴミステーションに行くと、すでに部屋ほどのサイズの巨大なゴミ箱が溢れ返っていたのです。
大量のラッピングペーパー、リボン、おもちゃの箱、いらなくなったおもちゃ…テレビなんかの大物も、生ゴミと一緒に捨てられています。
言葉が悪くて失礼しますが、「バカスカ買って、バカスカ捨てる!」
こういったダイナミックな経済の循環を体感したのでした。
どんどん増え続けるおもちゃ
日本でも、誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントを、色々な方からたくさんもらう子がいるでしょう。
記念日にプレゼントをあげるのが、義務のような雰囲気になっているとも感じます。
それに、特に日本では、行く先々にガチャポンが置いてあり、お子様メニューを頼めばおまけのおもちゃが付いてきます。
放っておけば、どんどん家はもので溢れていきます。
確かに、もらった瞬間は大喜びするでしょう。
でも、その後どのくらいそれらで遊ぶでしょうか。
どのくらい大切にできるでしょうか。
きちんと自分で管理できるでしょうか。
もし管理しきれない量になっていたとしても、
大してまだ使ってないのに捨てるのは勿体ない。
今は飽きちゃってるけど、そのうちまた使って遊ぶだろう。
誰かにあげてもいいし、売ってもいいし。しばらく様子を見よう。
そんなふうに思うとなかなか手放せず、増える一方になってしまいます。
収納から溢れたおもちゃが、棚の上や、床に散らばっていきます。
だんだんと、散らかっている状態がスタンダードに…
おもちゃが少ない子は可哀想?
おもちゃがたくさんあった方が子どもは楽しいし、幸せだろう。
むしろ、少ししかおもちゃがなくて、いつも片付けを強要される子は可哀想。
子どもがいるのにキレイな家なんて、親が神経質そうで、居心地悪そうだよね。
そんな声を聞くことがあります。
確かに、間違ってはいないと思いますし、好みの問題でもありますから、人様のおうちのことをとやかく言うつもりはありません。
ただ、私は、おもちゃは少ない方が好きなんです。
少なくて良いと思う理由
1、子どもは何でもおもちゃにできる
子どもは遊びの天才です。
お外なら、石ころ、棒切れ、砂、土、落ち葉。
おうちなら、ボウル、お玉、ワイパー、洗濯バサミ。
家にあるもので、何でも楽しく遊べます。
ゴミを捨てる、洗濯物をしまう、拭きそうじをする、玉ねぎの皮を剥くなど…
家事を一緒にするのも、そのままおままごと遊びになって、意外と喜んでくれます。
大人と同じ道具を使うというのも、嬉しいようです。
ボウルとカトラリーレストで遊ぶ末っ子。
コルクの鍋敷きを転がす遊び。
切ったかぼちゃをお鍋に入れるだけでもニコニコしてくれる。
お兄ちゃんたちはカレー作りも遊びの一つ。
タオルを畳んでいるつもりの末っ子。
2、おもちゃは支援センターに行けばある
よほどのお気に入りは別として、好きなおもちゃは月齢・年齢によって、どんどん変わっていくのが常です。
その度に全部所有していけば、きりがありません。
支援センターには、あらゆる段階にぴったりなおもちゃがたくさん用意されています。
そこで、その時期その時期のお気に入りを貸してもらえば良いことです。
育児支援センターで遊ぶ次男。
3、ポジティブな言葉をかける回数が増える
家にあるおもちゃが少なければ、片付けもカンタンです。
子どもが自分で片付けができます。
片付いていれば、もちろん掃除もカンタンになります。
「片付けてくれてありがとう。」
「きれいになって、気持ちがいいね。」
こんなポジティブなやり取りが増えて、気分が良いです。
4、少ない物でも幸せになれるようになる
たとえたくさん持っていても、次々に新しいものを買ってもらっても、もっともっと欲しくなる。
それが人間です。
フェラーリを全車種持つようなハリウッド俳優でさえ、財政難に陥った話が有名です。
どんなに裕福な人でも、誰もが、いつかどこかでラインを引かなければなりません。
そのラインの中で満足できるかどうかが、問題です。
幼い頃から、少ないもので楽しむスキルを磨いておけば、稼ぐことも、生活も、楽になるのではないでしょうか。
せっかく元々は物が無くても楽しめる子どもたちに、何もわざわざ、「物がなければ幸せになれない」なんて、教えなくて良いと思うのです。
5、クリエイティブになれる?!
夫が読んでいた本。
人は暇な時間があると、よりクリエイティブになれるとか。
子どもの時間をおもちゃでいっぱいにしては、「家にあるものでどう工夫したら楽しめるか」「自分が本当は何をしたいのか」など、考える時間もありません。
ソファを解体してテントにして遊ぶ。大人には思いつかない遊び方の一例です。
鏡で大爆笑の遊び。
我が家の場合
プレゼントをもらうのは基本、一年に二度。クリスマスと誕生日だけ。
そのときいらないおもちゃを見直して、手放すことも考えます。
一歳の末っ子には、まだおもちゃを買っていません。
お子様メニューはめったに頼まないし、おまけのおもちゃを断ることもあります。
それが可哀想という方も少なからずいらっしゃると思いますが、今日も3人の子どもたちは元気いっぱいです。
ただじゃれ合うのも、立派な遊び。大切な時間。