何度も書かない、唱えない
書字障害かつ聞いて理解することが難しい息子は、一般的な勉強方法である、
- 九九は唱えて(聞いて)覚える
- 漢字は何度も書いて覚える
という勉強方法が合わないようです。
九九は唱えず、漢字は書かないで、「じっと見て」覚えています。
プロセスを大事にする先生には、「勉強しているように見えない」と心配されてしまいました。
でも、効果がない上に負担のかかる勉強方法(特に何度も書くこと)を続けても辛いだけです。
親の私たちは「結果が出せれば方法は問わない」と決めました。
なので、ノートに漢字を何ページも書かせる宿題は、事情を話して免除してもらい、自分なりに覚えられる方法を探すよう本人に言いました。
息子は小学校三年一学期のテストで、「犬」しか書けませんでした。
しかしそこから努力して、「じっと見て空で一回、紙に一回だけ書く」という自分なりの方法で勉強し、二学期の漢字テストではなんと100点満点を取ることができたのです。
方法は自由。
自分で自分にとってやりやすい方法を見つけたり、自分から先生に練習プリントを印刷するように頼むなど、本人が主体的に取り組んだ結果にみんなで感動しました。
それで、とやかく言われなくなったのは勉強方法に関してだけではありません。
逆再生?ってびっくりする書き順も、独特な鉛筆の持ち方も、誰も文句を言わなくなりました。
最低限、読み書きできれば何も問題ありません。
伝われば良い
そのうちマークシートのテストを受けたり、PCでレポートなどを提出できるようになりますが、学童期はまだまだ最低限の書く作業は避けられないのが現実です。
いつも私たちは息子に、「文字は人に伝えるためのものだから、人が読める字を書こう。」という話をしています。
伝われば、何でも良いわけです。
全く書けないわけではないので、最低限それだけを目指しています。
作文の難しさ
作文とは、「書きながら考え、考えながら書く行為」だと思います。
でも、書くことが難しい彼にとっては、書いてる作業をしていると考えられないし、考えていると書く手が止まります。
考えた後に書く作業をしようにも、書くという作業に入ることで考えたことを忘れてしまうのです。
しかも、作文用紙には色々とルールがありますから、それも作業を複雑にしています。
読書感想文への挑戦
夏休みの読書感想文を、書字障害を理由に辞退することもできたかもしれません。
しかし母親としては、せっかく本をたくさん読んでいて、感想も聞けば面白いことを「話す」ことはできるのに、「書く」のが苦手だからといって諦めるのは、とてももったいないと思いました。
息子のユニークな考えを、文章で人に伝えることを諦めたくありませんでした。
息子も、本を買ってくれるなら頑張る!と言ってくれたので、毎年挑戦しています。
書字障害でも書ける!その方法。
考える作業と、書く作業をそれぞれ分けて行います。
- 本を読んだら、感想をおしゃべりしながら、息子が話したことを私がふせんにメモします。
- メモしたふせんを並べてみて、作文のテーマを決めます。
- 起承転結を意識してふせんを並べ替えます。
- 並べたふせんを見ながら、息子が音声入力でPCに入力していきます。
- PC内で文を整え、文字数を確認し、完成させます。
- できた文章を、一日3行くらいの負担がない量で日々書いていきます。
私もADHDなのでよく分かるのですが、書き写すという作業もとても難しいものです。
紙の原稿用意は、書き間違えたら、その後の行まで全て書き直しになってしまいます。
そうなるととても大変なので、書いているときはなるべくとなりで見守ります。
間違えに気がついたら、被害が大きくならないうちに書き直します。
2年連続優秀賞をいただきました!
もちろん、誤字脱字チェックや原稿用紙の書き方は親も一緒にしましたが、ちゃんと彼の考えたことを本人が文章化することができるようになりました。
一年目は鬼滅の刃や呪術廻戦の話、二年目はポケモンの話が出てくる、自由すぎるぐらいの内容でした。
それでも、一年目は地域での最優秀賞と、県での入選、二年目は地域の優秀賞をいただいたのです。
読書感想文はチャレンジする子が少ないのと、そもそも人口の少ない田舎の中で応募なので、賞が取りやすいのだとは思います。
しかし、井の中の蛙でけっこう!本人の自信に繋がったと思います。
今後も、一般的な方法にこだわりすぎず、何事も本人に合った方法を模索して行きたいと思います。