『イイもの依存』という言葉の衝撃
先日、「イイもの依存」という言葉を初めて聞きました。
この言葉にギクッとした方は、ぜひ岩切さんのお話をご覧になってください。
良いこと言ってるやん!! https://t.co/VIryhok5GA
— 岩切健一郎 / 発達障害専門FP(FP1級/CFP®︎) (@hokennobro) 2024年1月31日
痛いほど思い当たる私です…。
私が稼いでいた?頃
私は銀座で、高級な商品を取り扱う店で働いていました。
「王室・皇室御用達」だとか、人間国宝の方の作品、など…
そういった物たちの素晴らしさを伝えるお仕事だったのです。
プライベートでは、デパートでお洋服やお化粧品を購入していました。
稼いでいたと言っても、わずかな金額です。
お給料のほとんどが、あっという間になくなっていました。
今考えると、とても恐ろしいです。
専業主婦になってからは、夫に金銭感覚を叩き直してもらいました。
今では「プチプラ」と呼ばれる商品を愛用して暮らしています。
そんな私だから言えることがあります。自戒を込めて。
本物って何だろう
「良いもの」「本物」と言われるモノは、確かにそう言われるだけの理由があります。
でも、そういったモノには「相応しい人」というのがセットになります。
モノと人との関係は、釣り合いが取れていなければ美しくありません。
不釣り合いなモノと人の関係は、誰から見ても不協和音が聞こえてくるようです。
モノが、その人の収入や生活スタイルにぴったりと寄り添えたときこそ、それを扱う仕草が、しっくりと身に着けた姿が、とても魅力的に映るのです。
そうしたモノと人とが釣り合って調和してる状態のことこそ、「本物」と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。
世間にとって「良いもの」、自分にとって「良いもの」は違う
例えば銀製のカトラリー。
ステンレスよりも銀の方が柔らかい素材なので、口当たりが優しく、お料理が美味しく感じられると言います。
銀のカトラリーこそ「本物」で、ステンレスなんて、「偽物」。
でもこれを我が家のような家庭が導入したらどうでしょうか。
1本2~3万円(今はもっとするかも)くらいしますので、これを家族とお客様分購入してしまえば、まずは家計を圧迫します。
がちゃがちゃ使いますので、たぶんすぐに傷だらけになるでしょう。
また、こまめに磨いてくれるお手伝いさんがいるわけではありません。
子育ての合間に磨く時間をとるのはなかなか厳しいものがあります。
お手入れをサボっているうちに、すぐに変色し黒ずんでしまうでしょう。
器もそう。
食洗機で洗えない漆、割れやすい繊細な形・素材のもの、電子レンジでは使えない金箔をほどこしたものなどは、我が家では扱えません。
背伸びして手に入れたとしても、使うたびに緊張してしまって、疲れてしまうでしょう。
それよりも、IKEAやニトリで購入した食器をワイワイガヤガヤと賑やかに使い、食洗機に放り込んで素早く片付け、家族団らんしていた方が、私達には似合うのです。
気兼ねなく、快適に、自分たちらしく過ごせます。
現役で働いていた頃少しずつ集めていた高級な食器は、自分には不相応だと思い、全て大事に使ってもらえる方に売ったり譲ったりしてしまいました。
自然体で使えるものを選びたい
世間で言う「良いもの」にこだわり、無理して手に入れたものでぎこちなく暮らすよりも、今の自分にしっくりと馴染むようなものを選び、余裕を持って暮らす方が素敵であるような気がします。
例えば先日、酒器セットを購入しようと、色々見てみました。
それこそ切子や焼物など本当に美しいものがたくさんありました。
でも結局選んだものはこちら。
耐熱ガラスで、食洗機も電子レンジもOK。全て重ねてコンパクトにしまえます。
安心して日常的に使いたかったので、洗いやすい形、分厚くて丈夫な作りも気に入りました。
まさに今の自分の状況にぴったりのモノ。
見つけたときは嬉しくなりました。
私にとっては、たとえ100円ショップで購入したものであっても、吟味した上で選び、自分が気に入っていて楽しく使えるモノであれば、それは「本物」です。
今の自分に似合うものを、愛着を持って大切に使っていきたいと思います。