※このブログは、9月の現地で「光」に触れたとき、写真とともに上書きする予定です。今はまだ、私自身の心にある煤(すす)を眺めながら、この言葉を置いておきます。

「完璧な白」と「正解」への呪縛
「完璧な白」という呪いに、疲れてはいませんか?
SNSに流れてくる、埃ひとつない真っ白なインテリア。
そんな「正解」と自分を比べて、溜息をついてしまう……。
そんなあなたに、ポーランドの小さな村、ザリピエに伝わる「魔法」の話を贈ります。
この村は、家中が色鮮やかな「お花柄」で彩られていることで知られています。
でも、このお花たちは、最初からそこにあったわけではありません。
その始まりは、真っ黒な「煤(すす)」の汚れでした。
煤(すす)は「生きた証」だった
19世紀の終わり、この村の家には煙突がありませんでした。
それは当時の「煙突税」という重い税金から、家族の暮らしを守るための精一杯の抵抗(生存戦略)だったのです。
煙突のない家の中は、暖炉の煙が充満し、壁も天井も、そして人々の心さえも、真っ黒な「煤」に覆われていました。
煤は、貧しさの象徴であり、過酷な暮らしの証でもあったのです。
当時の女性たちは、その汚れを少しでも明るく見せようと、白い石灰で「点々」を描いて汚れを紛らわせました。
それが、お花の「蕾」の始まりでした。
「白」が生んだ、新しい苦しみ
時が流れ、村にもようやく「煙突(システム)」が普及しました。
家の中から煙が消え、女性たちは念願だった「真っ白な壁」を手に入れます。
けれど、皮肉なことに、壁が白くなればなるほど、わずかに残る煤の汚れが、まるで消えない罪のように目立つようになってしまいました。
仕組みが整い、理想の「白」を手に入れたからこそ、自分の不完全さが許せなくなる。これって、今の私たちの「完璧主義」の苦しみと、どこか似ている気がしてしまいます。
そこで彼女たちは、どうしたと思いますか?
必死に掃除をして、白さを保とうとしたのでしょうか。
煤を「お花の芯」にする魔法
いいえ。彼女たちは、その汚れがついた場所を「お花の中心」にして、もっと大きく、もっと色鮮やかなお花を上書きしたのです。
汚れ(煤)を消すべき敵として戦うのではなく、新しいお花を咲かせるための「きっかけ」にしてしまった。
「掃除(リセット)」するのではなく、「表現(アップデート)」することを選んだのです。
完璧な白(正しさや成功)を保つことよりも、
汚れてしまった場所に、今日自分が一番いいと思う色を重ねる。
税金を逃れるために耐え忍んだ「煤」という過去を、消し去るべき黒歴史にするのではなく、新しい人生を彩るための「素材」に変えてしまったのです。
完璧主義という呪いからの解放
「掃除して消す(捨てる)」のではなく、「花を足す(愛でる)」。
これが、ザリピエの女性たちが教えてくれる『加筆の魔法』です。
その筆跡には、誰にも汚せない「私の人生」という名の誇りが宿っています。
この物語を、ここに置いておきます。
もし今、あなたの心に消えない「汚れ」があるとしたら。
その上から、どんな色のお花を咲かせてみたいですか?