家は武器

ADHD親子の、片付けられる家。

感覚にやさしい暮らしノート Vol.2 音がつらい日もある。気づきからはじまる、やさしさの暮らし

感覚に寄り添うということ

最近、CLOプログラムの勉強会で「感覚過敏」というテーマについて学びました。
日常の音や光、匂いなどに強く反応してしまい、暮らしの中で困難を感じる方がいること。
そのお話を聞いたとき、私はふと、自分の中にもある感覚の波に気づきました。

育児や家事で疲れてくると、普段なら気にならない音が、どうにも耳に残る日があります。
ドアの開け閉めの音。ハンガーを戻すときのカチャッという音。
コップをテーブルに置く音。椅子を引く音。

暮らしの中にある小さな音が、少しずつ積もって、そっと心を削るように感じるときがあります。

そして、私の長男にも、似たような「感覚の鋭さ」があります。
匂いや肌ざわりにとても敏感で、旅先の空港では香水のにおいで気分が悪くなってしまったこともありました。
服も見た目より「触り心地」で選びます。本人にとっては、とても大切な基準です。

私は、こうした感覚を「わがまま」や「甘え」だとは思っていません。
感じ方の違いに気づき、尊重し合いながら、
できる範囲で「感覚にやさしい暮らし」に整えていくこと。
それが家族としてのセルフケアであり、共に暮らす工夫だと感じています。

 

静けさをつくる道具たち

そんな感覚に向き合う中で、
私自身も、静けさをつくる工夫に目が留まるようになりました。

たとえば、フィンランドで見かけたハンガー&ハンガーバー。
ハンガーバーは木製。ハンガーにはファブリックが巻かれていて、
掛けたり外したりするときも、音が立ちにくいようになっていました。

ある日入ったお店では、金属の買い物かごの取っ手に、
リボンがくるくると巻かれているのを見かけました。
細やかな工夫かもしれないけれど、そこにあるやさしさは確かでした。

アアルト邸で触れたドアの取手も印象的でした。
金属なのに、角がなく、手のひらにしっくりとなじむ形。
感覚に寄り添う「形」が、こんなふうに存在することを、
初めて意識したような気がしました。

音を消す、というよりも、
「感覚を刺激しすぎない」ように、静かに支えてくれるものたち。

そういう道具や素材にふれるたび、
どこか、自分がやさしく扱われているような気持ちになります。

 

アアルトが設計した「やさしさ」

フィンランドの旅の中で、
アアルト自邸とスタジオを訪れたときのことが、とても心に残っています。

そこには、いわゆる“名作デザイン”として語られるものだけでなく、
使う人の感覚に寄り添うような、さりげない工夫がたくさんありました。

ある療養生活のために、アアルトが設計したサナトリウムでは、
家具や建材の素材が、金属から木材へと変えられていたという話をガイドさんから聞きました。

金属の持つシャープな印象や、清涼感も美しさのひとつ。
けれど、長くふれあう空間や道具においては、
“ぬくもり”や“やわらかさ”が、より深い安心をくれることもあるのだと思います。

パイミオのサナトリウムでも、患者さんの呼吸のしやすさや、心身の快復を考えて、
照明の角度や椅子の素材にまで配慮がなされていたと知り、
「やさしさ」とは、見た目や言葉だけでなく、
素材や音や光といった“感覚”のすべてに通じるものだと、改めて感じました。

 

気づくことは、セルフケアの第一歩

「やさしさ」という言葉は、ときにふんわりしすぎていて、
何をすればいいのか分からなくなることがあります。

けれど、自分の中にある「ちいさな不快感」や「ささやかな心地よさ」に気づくこと。
それは、感覚にやさしい暮らしをつくる、確かな入り口になると感じています。

外から与えられるやさしさも大切だけれど、
自分の感覚を受けとめ、自分のために整えること。
その積み重ねが、セルフケアであり、
家族や暮らしの中にもやさしさを広げていく基盤になるのかもしれません。

 

次回予告

次回は、「だらける」とは違う、
“意思を持ったリラックス”について綴ってみようと思います。

やさしさの芯にある、
ちいさな「整える力」のお話です。

感覚にやさしい暮らしノート Vol.1 光がやさしいと感じた、フィンランドの部屋

ヘルシンキを旅するなかで、ふと立ち止まりたくなる室内の景色に、何度も出会いました。
それはどれも、強い主張のない、静かでひかえめな空間。
けれど、そこにある“光”はどこまでも豊かで、心の奥にまでそっと届くようなものでした。

窓辺の机と白い壁

白く塗られた壁、淡い木の床。
そして、窓のすぐそばにそっと置かれた机や棚。

フィンランドの冬は、日照時間がとても短く、太陽が低い角度から差し込みます。
だからこそ、室内に入ってくる光の一筋が、まるで贈り物のように感じられるのだそうです。

白い壁は光をやわらかく受け止めて、部屋の奥へと反射させてくれる。
棚の上の植物や小さなオブジェは、そのひかりを浴びながら、静かにたたずんでいます。

この「明るさ」には、きっと照明ではつくれない質感があります。

「明るすぎない」やさしさ

フィンランドの照明もまた、とても印象的でした。
ほとんどが間接照明で、天井から降り注ぐ強い光は少なめ。
代わりに、ランプシェードや壁に反射するやわらかい光が、部屋全体をそっと包んでいます。

いちばん印象に残ったのは、「光で見せる」ではなく、「光で安心させる」空間のあり方。

どこかおうちの中のようで、街の灯りも、部屋の明かりも、まるで同じ呼吸をしているようでした。

 

光を使って、こころを整える

この旅で気づいたのは、
「明るい部屋にしたい」と思っていた私の願いの奥には、
「心を整えるような光がほしい」という想いがあったのかもしれない、ということ。

蛍光灯の強い光よりも、
窓から差し込む自然光、壁にふわっと映る明るさ、
そしてその“影”すらも、心地よさをつくってくれる。

光もまた、感覚にやさしく寄り添ってくれるものなんだと知りました。

わたしの暮らしに取り入れてみたいこと

– 午前中はカーテンを開けて、光の動きを感じてみる
– 白や淡い色の壁や布を取り入れて、光を迎える場所をつくる
– 明かりは「足す」よりも「整える」。影も美しさの一部にする

ちいさなことからでも、きっとはじめられる。
このやさしさを、自分の暮らしにも少しずつ、しのばせていきたいなと思っています。

次回予告

次回は、音に寄り添う道具たちについて。
金属音が苦手な方にもやさしい“ロープ巻きハンガー”や、感覚への工夫についてご紹介します。

片付けられないことを「怠惰」と誤解してはならない—正しい理解とサポートの重要性

片付けられない=怠惰という誤解が生む苦しみ

灰色のソファに横たわるピンクのジャケットの女性

「片付けられない」と悩み、長年苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。

その背景には、様々な問題が関係しているのにもかかわらず、悲しいことに「怠けている」と誤解されたり、ご自身でもそう思い込んでしまうことがあります。

この誤解こそが、さらに苦しみを深めてしまうのです。

片付けられない自分に対して罪悪感を抱き、恥ずかしさから誰にも相談できず、ますます追い詰められてしまう方も少なくありません。  

でも実際には、精神的な負担や脳機能の低下など、さまざまな難しい要因が影響している場合があり、自分の意思だけでは片付けが難しいことも多いのです。

だからこそ、正しい理解とサポートを受けることが必要です。

茶色の木製の棚に並べられた本

片付けられない要因を正しく知る

片付けられない原因には、精神的なもの、神経科学から説明できるもの、身体的なもの、認知の問題など、さまざまな要因があります。

何が片付けられない要因になっているのかを正確に把握できなければ、適切な対応をすることは難しいでしょう。

そのため、状況を客観的に分析し、適切なサポートを見極めることが重要です。

 

CLOプログラムでの学び

私たちが所属する日本ライフオーガナイザー協会には、CLOプログラムという学びの機会があります。このプログラムでは、ADHD(注意欠如・多動症)・自閉スペクトラム症・ホーディング(ため込み癖)・脳機能障害などが影響し、慢性的に片付けられない状態(Chronic Disorganization=CD状態)になっている方をサポートするための専門知識や技術を継続的に学びます。

jalo.jp

先日もCLOプログラムの勉強会に参加し、以下のテーマについて学びました。

  • 散らかりの深刻度や日常生活への影響を客観的に測るスケール

  • 先延ばし、時間管理、変化への備えなど、慢性的に片付けられない状態の要因を検証するファクトシート

  • これらのツールを現場でどのように活用するか

こうした評価ツールを使うことで、お客様の状況を客観的に確認し、適切なサポートを提供することができます。

www.challengingdisorganization.org

変化には段階がある

例えば、CLOプログラムで学んだファクトシートの一つに「変化への備え」というものがあります。

これは、人が変化を受け入れるまでの5つの段階を示したものです。

以前、Xでアンケートを取った際に「変化が苦手」と感じている方が多くいらっしゃいましたが、このファクトシートをご覧いただくことで「最初に不安を感じるのは当たり前」であり、「少しずつ移行すればよいのだ」と安心してもらえるのではないかと思います。

このように、片付けができない要因を科学的に分析し、正しいアプローチを取ることで、私たちがお客様の負担を減らし、適切なサポートを提供できると信じています。

www.challengingdisorganization.org

 

お客様に安心していただきたい

私たちのもとに相談に来られるお客様は、長年「片付けられない」という悩みを抱え、そのことで偏見を持たれたり、誤解されてしまうことに苦しんでいます。

そのため、私たちライフオーガナイザーに対しても「責められるのではないか」「偏見を持たれるのではないか」と心配されることが少なくありません。

ですが、CLOプログラムを学んでいるオーガナイザーは、そういった偏見を持たず、科学的な視点からサポートを提供しています。

安心してご相談いただければと思います。

 

正しい現状認識から始めましょう

砂浜に足を突っ込んで立っている人

今回ご紹介した評価ツールを活用することで、お客様の現在地を客観的に確認し、次のステップへと進むサポートができます。

これは、お客様自身が「どうして片付けられないのか」を正しく理解し、思考や感情の整理をし、生活環境の問題点を冷静に見つめなおすことにも役立ちます。

そして、双方の思い込みや誤解をなくし、お客様とオーガナイザーが共通の認識を持つことで、より効果的な片付けサポートが可能になります。

そのために、私たちは今後も学び続け、最適な方法を模索していきます。

もし、片付けられないことで苦しい思いをしている方がいらっしゃったら、ぜひ私たちにご相談ください。

二人の手の眺め

生活DXでもっと楽になろう!②Googleドライブで家庭の書類をスッキリ管理

Googleドライブ活用のメリット

家庭で増えがちな紙類を効率的に整理するには、Googleドライブがとても便利です。

今回は、Googleドライブを活用した書類管理をご紹介します。

1. 必要な書類はデジタル化してスッキリ

学校や園から持ち帰った書類のうち、必要なものはGoogleドライブでスキャンして保存すれば、紙自体を破棄しても問題ありません。

無くしてしまっても大丈夫って気楽じゃないですか?

物理的な紙が減ることで、保管場所の確保や整理の手間が軽減されます。

お片付けが苦手な方こそ試してみてほしいと思います。

印刷用紙の山

2. 子ども別にファイルを作成

お子さんごとにフォルダを作っておけば、作品やいただいた写真もデジタル化して管理できます。

成長の記録として思い出を残しつつ、収納スペースを節約できます。

我が家では名前別のファイルを作り、学年ごとに保存しています。

外出先で、どこからでも確認できるのは便利です。

例えば「地震発生時の引き渡しルール」も、災害時にすぐ確認できて安心。

病院記録も個人別に管理。

地区、学童の書類もここへ保存しています。

3. 家族での共有が簡単

Googleドライブなら、夫(妻)ともスムーズに情報共有ができます。

行事の予定や重要な連絡事項を家族全員で確認できるのは大きなメリットです。

4. Googleカレンダーとの連携

Googleカレンダーのイベントに、行事の案内や持ち物リストをスキャンして添付しておくと、忘れ物防止に役立ちます。

予定と情報が一元管理できるので、確認もスムーズです。

5. あらゆる情報を一括管理

以下のようなさまざまな情報もGoogleドライブにまとめておくと便利です。

  • 地域の回覧板や手紙
  • 旅行の計画や持ち物リスト
  • 読書感想文や自由研究のレポート
  • 健康診断の結果
  • 保険の書類や投資実績
  • 家造りの資料や図面

6. 紙で保管するべき書類が激減するはず!

不動産関係の重要書類や、保管期間が決まっている領収書など、紙で取っておくべきものはごく一部。

デジタル管理と併用することで、物理的な紙の管理が格段に楽になります。

7. 強力な検索機能

Googleドライブの検索機能を活用すれば、物理的な紙よりも探しやすく、目的の書類をすぐに見つけられます。

タイトルや内容の一部でも検索できるので、情報が埋もれにくくなります。

まとめ

Googleドライブを活用することで、家庭内の情報整理が劇的に楽になります。紙の山に悩んでいる方は、ぜひ一度試してみてください。

Googleドライブを開くとすぐ、スキャンで簡単にデータを取り込めるようになっています。

初めての方でもそんなに抵抗なく操作できると思います。

その一歩が、遥か遠いの!(自宅失敗談と片付けレポ)

一歩、舐めてますよね!

たかが一歩、されど一歩。

それって遥か遠くです。

 

収納場所と活動場所との距離は近いか?と確認すると、

「近いのにしまえないんだよなぁ」ってお答えいただく事が多いです。

でも、本当に?本当に?近いでしょうか?

 

特に、座ったり、寝転がってやることに関しては、

一歩も動けないことを前提にしてください。

寝返りすら打てない可能性が高いです…。

 

リラックスコーナーでは一歩も動けないことを前提にしよう

でないと、こうなっちゃいます!!!自宅の寝室です…

犬も乱入してるし…

ティッシュ、おしりふき、耳栓、本、おもちゃなどがベッドの上や足元、周りの床に散乱していました。

本棚はベッドの脇に一応あるんです。

ところがそこまでいけない。戻せない。

ベッドに直結できるような家具を設置できればよかったですね。(後悔)

家具の配置も考え直したのですが、動かすのも大変で、買い替えるのほどのことでもないかな…と諦めました。

 

座ったまま、寝転がったまま、取り出せるか?しまえるか?

ちゃんと考えてくださいね、過去の私…

 

間取りや家具の配置でどうしても活動場所と収納場所が離れざるをえない場合もたくさんあると思いますが、できるだけ身動き少なく出し入れできると「めんどくさい」を乗り越えられる可能性は高まります。

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というわけで、家具の種類や配置は替えずにできることをすることにしました。

 

寝室片付け一日目、まずはちょっとだけ手を付ける

落ちていたおもちゃをピックアップ。一階おもちゃコーナーに戻します。

一日目はこんなもんです。

いつも「まとまった時間は取れないことを前提」に動きます。

その日できることをちょっとだけ。

それでも、少しは進んだという実感が持てるので、また一歩踏み出しやすくなります。

 

数日後…これが動き始めると起こるミラクル!

まずは窓を開け新鮮な空気を淹れました。

そして本は本棚に集めて、寝具を整えました。

面積の大きいものが整うと、一気に部屋が明るくなるような気がします。

これで片付けのやる気アップ!あるあるです。

最初は書類や小物よりも、こういった大きいものから整えていくのがおすすめです。

端に寄せただけだけど。作業スペースができました。

奮起して、本を出していきます。

ずっと本が無駄に増えていることが気になっていたのですが、放置していたんですよね。

ジャンルや対象年齢などで分類しながら出していきます。

図書館に二週間に一度通っているので、そもそもこんなにたくさんはいらないし、古い本はこれを機に手放すことにしました。

 

そうしているうちに…これが行動すると起こるミラクル、周りにやる気が伝染する現象!

夫も片付け始めてくれました!

けっこう彼の本が多かった。

いざとなれば潔い人。

こんなに役目を終えた本たちが出てきました!

残す基準は、「子たちのお気に入り」「今後子たちに読ませたい」「情報に普遍性がありそうなもの」にしました。

ほこりも溜まってました。あらら…何年ぶりの掃除かな…?

子たちのフレンズにも一度どいてもらってお掃除。

一応これで完成!
棚の上は飾り物とアレクサのみに。

本やおむつ替えセットなどは棚の中に収まりました。

空いているスペースもあるので、もしまた本が増えても大丈夫。
床もルンバに掃除してもらって、すっきり!

朝の1時間半で、これだけできました。

「収納場所がベッドから遠い問題」は、ベッドの足元に「とりあえずBOX」を設置し、そこに戻すのが面倒で細々したものをいったん入れる(部屋中に散らばるのを防ぐ)という方法で試し、様子を見ていきたいと思います。

 

まとめ

  • リラックススペースでは一歩も動けないことを前提に収納計画
  • 「まとまった時間はやってこない」と思って日々できることを
  • 迷ったら面積の大きいものから片付けて作業スペースを作る
  • 情報は鮮度が命!家に置くのは古典など普遍性のあるものを中心に
  • 図書館で借りてくるからそんなに所持する必要なし
  • やる気は伝染する!信じて待て♡
  • お気に入りは大切に
  • 新しい収納方法は「実験」ととらえ気軽に試す

以上です。最後まで自宅片付けレポにお付き合いいただきありがとうございました!

五感を使ったお片付け

感性を呼び起こそう

暮らしを楽しむために、本来失われてはならない大切なもの。

それはご自身の感性です。

 

私たち…特に30代?以上の方は、まだまだ「我慢が美徳」だった時代に教育を受けてきました。

自分の考えや感じ方を自由に表現することは、なんだかわがままのように感じられて、つい言葉にできなくなってしまう。

または、嫌だなぁ、苦手だなぁ、ということも、ついつい我慢するなり気にしないようにしてしまう。

毎日忙しくて、自分のことなんかにかまってはいられない。

はたまた、意識的にも無意識的にも、「これが美しい」「これがかっこいい」「こうあるべき」という世間の基準に沿って物事を選んでいる。

そんな日々がずうっと続いていると、自分の感じ方がどんなものだったか、忘れてしまいそうになりませんか。

 

でも、本来お部屋はあなただけの、ご家族だけの、プライベートな場所。

片付きレベル、使うもの、取っておくもの、収納用品、置き方などはそれぞれの自由に委ねられるべき場所です。

 

ご自身にとって快いお部屋、本当に幸せを感じられるお部屋、そんなお部屋にしたいのなら、ぜひお片付けを始める前に、ご自身の感性を呼び起こしてほしいと願っています。

 

いつもはけっこう理屈をこねて動線やら使用頻度やらを一生懸命説いている私ですが、今日は本当はずっとお伝えしたかった、「五感を使ったお片付けの方法」をご提案したいと思います。

気楽にお読みくださいますと幸いです。

 

①視覚

これは一番わかりやすいですね。まずは目を使ってみましょう。

以前「色の片付け」「明るさの片付け」のお話をしました。

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強い色のパッケージのものを隠したり、ケースに入れ替えたりするだけでも、驚くほど見た目はすっきりします。

私は洗面所に集める布物をすべてグレーで統一したのですが、こうすると多少ラフに置いてあってもあまりうるさい印象にはなりません。(個人感)

 

カラフルなものがお好きな方は、つまらない色は逆に排してしまっても素敵です。

 

次は眩しさのお片付け。光の強度も人によって心地よさが違います。
作業する場所は明るいほうが良いけれど、リラックスする場所は光を抑えると、穏やかな雰囲気が作り出せます。

11:00時位置にブラックデジタル目覚まし時計

「片付いたらお気に入りのランプを購入する!」というのも、楽しい目標になりそうですね。

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また、お疲れのときは「目線の高さの水平面にあるものだけでも片付ける」というのが効果的です。

お部屋全体が散らかっていたとしても、キッチンカウンターやダイニングテーブルの上など、「まず目に入る場所」がきれいだと、すっきり見えるのでぜひお試しください。

 

床置きになっているものを、無地の紙袋や段ボールにまとめるだけでも違います。

そんなふうに細かいものは大きな塊にすると、視覚情報が減り、ストレスも軽減されるかと思います。

 

②聴覚

意外かもしれませんが、日常生活はいろいろな音に囲まれています。

しかし「音」は、一番軽視されがちな部分かもしれません。

聴覚が鋭い方は、実は日常に我慢している音がたくさんある可能性があります。

  • 磁気の食器に金属のカトラリーが当たる音
  • 椅子を引くときの音
  • 金属製のハンガーを金属製のバーに掛ける音
  • 引き出しの中にモノを入れたときに立つ音

茶色の木製のハンガー4本

それぞれほんの一瞬の小さな音で気にしない方も多いかもしれませんが、聴覚が優れている方には辛い音があったりします。

聞こえないふり、気にしないふりが、知らぬ間にストレスを積み重ねているかもしれません。

先日私もドライヤーを引き出しに入れたときの音が気になって、収納用品を変えました。

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金属製やプラスティック製の収納用品を、フェルトやコルク、草木製品などに変えることで音が柔らかくなり、気になる音が片付くことがあります。

もともと聴覚に自信がある方はぜひ、暮らしの中で本当は我慢している「音」がないか確認していただき、気になる「音」もお片付けしていただくことをおすすめいたします。

もちろん近隣の騒音などがあれば、早急に防音効果のあるものの設置をしましょう。

最近はおしゃれなものが多く、インテリアに合うものがきっと見つかります。

 

③触覚

ベッドの上の白いシーツの接写

手触り、肌触り!これも本当にわかりやすく快適さを左右しますよね。

全然気にならない方ももちろんいらっしゃるとは思いますが。

うちの息子はここが特に敏感で、服や下着は全て「手触り」で選びます。

デザインはほとんど気にならず、ノールックで引き出しに手を突っ込み、手触りでどの服か判断しその日どれを着るか選びます。

そんな人もいるんだと、息子を見て勉強になりました。

 

少しの毛羽立ち、少しの毛玉だからいっか…と半分諦めながら取っておいているものがあったら、改めてもう一度お手にとって触ってみてください。

シーツ、枕カバー、寝間着、ニットなどなど。

肌触り手触りできちんと寿命を見極め、手放すべきタイミングを見逃さないようにしましょう。

古いものは手放すなりお手入れして、必要であれば新調しましょう。

ぐんと快適な毎日が待っているはずです。

 

④嗅覚

匂いも、「気にしないふり」しやすいものです。

でも実は、匂いに敏感な方もかなり多いのではないでしょうか。

なんとなく使っていた柔軟剤の匂い、トイレの芳香剤の匂いなど…実はなくても困らないものがけっこうあるかもしれません。

白い布に一輪のピンクの花

逆に好きな香りがあれば積極的に取り入れてください。

でもそのためにも、嫌なニオイのもと(汚れ)は除去するのが大切ですよね。

お掃除はお片付けが終わっていない状態だとなかなか難しいのが実情ですが、やはりお片付けをしたらお掃除もしやすくなり、嫌な匂いを溜め込みにくくなります。

「本当は気になっていたあの匂い」がもし今思い浮かぶなら、日々のストレスがいつの間にか溜まっているかもしれません。

ぜひぜひ頑張ってお掃除し、すっきりしちゃいましょう。

お掃除に必要なのは、実は時間&習慣の片付けだったりします。

満足度の低い時間を手放すきっかけになるかもしれません。

 

⑤味覚

最後に味覚です。片付けと味覚?関係ないようで、私はキッチンの片付けに最も必要な感覚ではないかと思っています。

まず古くなった油、油分の多いお菓子…食べてみてください。(想像だけでもOK、自己責任でお願いします!)酸化してしまって美味しくないはずです。

いつも冷蔵庫には新鮮で「美味しそう!」と思えるものだけ並べたいですよね。

ストック品も、必要かつご家族が大好きなものだけが揃っている状態が理想ではないでしょうか。

食品を手にとって味わいを想像してみる、そんなふうに片付けを進めるのも面白いかなと思います。

また、普段の食事で、ご自分の好きな料理、ご家族にとっての定番料理など、住む人の味覚の好みがしっかりわかっていれば、必要な調味料や素材が決まってくるはずです。

全世界の料理を生み出せるキッチンでなくてもよいはずなので、ご家族が好きな料理をスムーズに生み出せるキッチンを目指していきましょう。

黒いフライパンを持つ人

 

おわりに

五感を使ったお片付け、いかがでしたでしょうか。

お片付けにはいろいろなセオリーが合って、もう情報にうんざりしてしまう日もあると思うのです。

ときには力を抜いて、感じることから始めるお片付けがあってもよいではないですか。

ご自身の好き嫌いを、思い切りわがままに、お家の中では自由に表現したいですね。

それは自分を大切にすること、自分の感性を守ること、自分で自分を幸せにすることです。

 

「片付いたら幸せになれる」は本当?実は真逆という仮説

前回は片付け界でも二極化が起こっており、片付けられないのは、「努力が足りないから」ではないというお話をしました。

引き続き「ゆるストイック」から考察をしていきます。

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「部屋がきれい=幸せ」ではない

散らかった部屋を見て、きれいな部屋の人が「可哀想」とコメントするのを見たことがあります。

私はそれに強く違和感を感じました。

 

部屋の状態で幸福度を計ることはできません。

実際部屋がきれいでも幸せじゃない人もいっぱいいるし、部屋が散らかっていても幸せな人もたくさんいます。

部屋の状態と幸せは、影響し合うことはあっても「=」にはならないのです。

なぜなら、部屋がきれいであることに「価値」を感じない人もいらっしゃるからです。

「散らかっていても別に気にしない」、というのは、その方にとって強がりではなく本心です。

そりゃきれいであることに越したことはないけれど、「他のことに価値を感じている」

「優先したいことが他にたくさんある」場合、相対的にのその方にとって「部屋がきれいなこと」の価値は下がります。

また、どのような状態を「きれい」と感じるかは、一人ひとり違います。

だから、周りの人がその人の部屋を見てその人が幸せかどうか計ろうとすること自体、意味がないことなのです。

ハンモックに横たわる白いドレスの女性

「片付け」はより幸せになるための「手段のひとつ」に過ぎない

つまり、「片付け」はすべての人にとってのゴールではありません。

一度、「部屋は片付いていなければならない」という思い込みを手放し、ゼロベースでぜひ考えてみてください。

 

一人ひとり違う「幸せ」、一人ひとりが「望んでいる状態、実現したいことを」を応援する環境を作る「手段のひとつ」が片付けです。

もしかしたらより幸せになるために、貴方に必要なのは、「片付け」じゃないかもしれないのです。

そうして改めて考えてみても、やっぱりより良い生活のためには片付けが必要そうだな、と感じた方は、ここから先もお付き合いくださいませ↓。

 

「努力したら→片付く→幸せになれる」のセオリーを疑ってみる

ここで片付けを促すキャッチフレーズを改めて疑ってみます。

 

努力したら片付くのでしょうか?

片付いたら幸せになれるのでしょうか?

 

私は逆かもしれないと最近思うようになりました。

努力した結果、部屋がきれいになって、部屋がきれいになったから幸せになれるんじゃないのです。

 

以前散らかりまくった部屋に住んでいた私。

片付けの本はいっぱい持っていました。片付けられるようになりたくて。

情報はたくさん集めていて、理屈ではわかってる。

でも行動に移せないっていう時期がずっと続きました。

その時、私はとても大きいストレスを抱えていました。

ストレスが大きいから、片付けられなかったんだなって今は思います。

 

前回のブログで書きましたが、心身が元気(ベストとしては幸せな状態)でないと、冷静に物事を考えられないんです。

ものは絶対選べないんです。

 

だいたいしんどい時って、何が自分にとって幸せか?わかっていない状態なんです。

自分が何が好きで、何を心地よいと思うか、何がしたいのか、わからなくて途方に暮れた状態で、必要なものが選べないのは当然です。

 

選ぶ作業って、ただでさえ凄く頭使いますよね。疲れますよね。

それがストレスを抱えた状態では?まず出来ないと思います。

 

行動力も失われている状態です。

生きているだけでも大変なのに、プラス片付け行動を起こせるでしょうか?

起こせないですよね。

 

片付いたら幸せになれるのではくて、幸せだから片付けられる

幸せだから片付けられる。

「片付けで人を幸せにできる」と思ってたんですけど、そうではありませんでした。

 

私の部屋が片付いたのは、たまたまでした。本当にたまたま。

たまたまのチャンスにたまたま乗れたからなんです。

つまり、何かいいことがあって、自分が元気になった時に、ようやく片付けられるようになったんです。

過去の自分を振り返っても、あの時先に「幸せになったから」片付いたんです。

「幸せになったから」アトピーが治ったっていう順番でした。

頑張っても治りませんでした。頑張っても片付きませんでした。

たまたま幸せになったタイミングでアトピーが治って、たまたま幸せになったタイミングで片付いたんです。

 

「幸せ」=自分にとっての「価値」がわかっていて、それが実践できている状態

「片付いている」=自分の「価値」にそった環境づくりができている状態

白いドレスシャツと茶色のズボンを着た女性が昼間、黄色い花畑を歩いている

 

つまり、自分の幸せが何かわかって、それに何が必要かわかったからモノを選べる。

幸せを実感できたから、どんな環境ならより実感できるかわかり、片付けのゴールを決められる。

そうすれば自然と片付くわけです。

 

これは、私が勝手に考えた仮説です。

皆さんはどう思われるでしょうか。

 

まずはとにかく幸せになることが先。幸せになったら自然と片付く。

だから私は今から言う大切なことをお伝えしたいです。

 

片付かないことで、どうかご自分を責めないでください。

「もっと頑張らなきゃ」とか、「努力してないからかな?」とか。

自分が嫌になってしまう気持ちがあると思うんですけど、そうではないと思います。

まずはとにかく一度片付けることを忘れて、幸せになることだけを考えてください。

 

幸せになるには運の要素が、正直、大きいです。

努力は必ずしも報われません。

個々人の努力だけじゃどうにもならないこともあります。

 

それなら、個人は何もできないのでしょうか?

いいえ、できることがあります。

 

チャンスを活かす、チャンスを待ちながら準備する

たまたま元気な日、たまたま嬉しいことがあった日、そういう日になら、きっと、少し片付けられると思うんです。

そういう日があったらそのチャンスを必ず見逃さずに、少しだけ行動するっていうのを続けて行ってみてください。

ゴミ一つ拾うことからです。

小さな緑の葉を手に持っている人

ただ、そのチャンスが来た時のために準備しておく。

ぐっすり眠って、自分の体調を整えておく。

美味しいお茶を飲む、散歩して新鮮な空気を吸う、好きな人のことを考える、何でもいいです。

一日一日、自分で自分を幸せにできることを考える。

何に対して自分は「価値」を感じるか、探す、見つける、確かめ続ける。

そのことだけを考えて毎日を過ごし、幸せな日があったら→片付けるの順番が良いのではないでしょうか。

片付けの手法や理屈など、難しいことはいったん考えなくてもまずは大丈夫かなと思います。

正論は一度置いといて。

 

とにかく体調を整える、幸せに過ごす。それを先に考えてください。

その後、自然に片付くと思ってください。

 

元気がないときは人に頼る

でもやっぱり、片付かない部屋を見てストレスがたまる時ってあると思います。

部屋が片付いていたらどんなに楽だろうって。

私もそれがすごくつらかった過去があります。

 

だからそういう時は、お友達、ご家族にまずはお願いしてみるとか、もし頼る人がいなければ最寄りの役所に行って相談支援を受け、福祉につながってください。

お安くヘルパーさんに来てもらえる制度をまずはちゃんと利用していただきたいです。

 

それも使えない状況でしたら、やっぱり片付けのプロに声をかけてください。

家事代行さんでもいいですし、ライフオーガナイザーでもいいですし、整理収納アドバイザーさんでもいいんです。

自分と相性が良さそうな人にお願いしてみてください。

もしも私を選んでくださった方がいらしたとすれば、ゴミを捨てることから一緒にやります。

一緒にじゃなくてもいいです。

任せていただけるなら、まず私一人で進めてもよいです。

ゴミと思われるもの…例えばペットボトルなど、(それが大切な人もいらっしゃるので、全部それを捨てていいかどうか確認しますが)、分別など面倒くさいことは私がやりますので。

まずゴミを捨てることから始めましょう。

多分ゴミも捨てられない状態だと思うんですよね。

もう辛い時は。ストレス抱えてると無理なんです。

元気な時じゃないと片付けなんかできないんです。

だからそれは人に頼りましょう。ぜひ頼ってください。

 

営業トークにしか聞こえないと思いますが。

「ゆるストイック」という本で「今日自分が死ぬとしたら?何をすべきか?」考えさせられた結果、最後に皆さんに何を伝えたいか?というのを考えて、このお話をしてみることにしました。

 

長くなりましたがここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

どうぞお幸せに、お元気でお過ごしください。